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中山間地域活性化の切り札は?と題して講演を行いました

平成25年2月2日、大山町の国信公民館にて「中山間地域活性化の切り札は?」と題して講演を行いました。

日本海新聞

大山町だけでなく鳥取市など遠方からも参加者があり70名も集まりました。

講演内容の一部を掲載します。

中山間地域活性化の切り札とは?

まずは鳥取県の現状について確認したいと思います。

鳥取県の人口は平成22年10月で58万7772人となっています。昭和60年(1985年)頃をピークに減少を続け、近年では減少幅が広くなっています。

また市町村別の人口増加率ですが、日吉津村だけが増加していて、その他の市町村はすべて減少し、とくに山間部で人口が減少しています。

若桜町、智頭町、日南町、日野町の順でそれぞれ10%を超え、次にこの大山町が7.4%の減少となっています。

人口に占める65歳以上の高齢者の割合を高齢化率と言うのですが、鳥取県の高齢化率は26.3%と全国で13番目に高く、全国平均を3.3%上回っていま す。市町村別では山間部ほど高齢化率が高いという傾向があり、日南町が48.2%で一位、日野町、若桜町、江府町、智頭町と続き、大山町は33.6%の6 位となっています。

これらのデータを全国平均と比べると、鳥取県は全国の10年先を進んでいることがわかります。つまり、この大山町をはじめとした中山間地域は日本の未来の姿なのです。

鳥取県の人口の見通しですが、今後はさらに減少を続け、2035年には50万人を割ると見込まれています。少子高齢化によって64歳以下の人口が減少し、2035年には高齢化率35%となり県民の3人に1人強が高齢者になると見込まれています。

さて、現状把握が終わったところで中山間地域の現状をまとめてみます。

  • 人口が減少し高齢化が進んでいる
  • 若者の人口流出が続いている
  • 高齢者は集落への定住意向が強い
  • 交通・買い物等が困難になるケースが増えている

これらの状況によって以下のような課題が出てきています。

  • 高齢者世帯の増加によって家族による助け合いが減っている
  • 日中が高齢者ばかりになるため消防等の初期対応に心配がある
  • 若者の転出により防犯、防災活動、地域活動、集落機能が不足している
  • 農林地の荒廃
  • 公共交通の廃止、減便
  • スーパーの撤退や個人商店の廃業による買い物難民化
  • 医師・看護師の不足

悲観的なデータが並んでいますが、これはあくまで現状のまま推移した場合です。未来は変えることができるのです。次は明るい話として、この未来を変える方法についてふたつお話させていただきます。

まず、ひとつめの活性化案ですが、移動販売事業です。中山間地域ではスーパーや商店が減っていて、買い物難民が問題になっているわけですが、わたしはそれ らの人々に移動販売と買い物代行、便利屋業務を行う御用聞きサービスを行うための組合を作りました。創業140年のお茶屋さんである長田茶店、老舗の和菓 子屋、だんごや萌音さんなど7社の組合で、3月より伯耆町を中心としてサービスを開始します。オーブンを搭載した移動販売車によって焼きたてのメロンパ ン、揚げたてコロッケなどを販売し、ついでに買い物代行の配達も行います。火曜日は岸本役場前、水曜日は溝口というように、週に一度決められた場所にやっ てくるという形で、住民の不便を解消するのです。

この焼きたてメロンパンの販売については、昨年の夏より行ってみました。わたしも実際に販売し、数千人のお年寄りを中心としたお客様の意見を聞きました。そこで、中山間地域活性化のヒントになるいくつかの発見があったのです。

まずはお客様があたたかいということです。米子市など都市部では、お客様との関係は完璧に商売です。お金を払って早く商品を出せという感じです。しかし、 伯耆町では、お客様があたたかいのです。急かすようなことはありません。ゆったりと世間話をしながらメロンパンを買っていかれるのです。店がなくなってい くところによく来てくれたと歓迎してくださり、感謝と感謝のお付き合いができるのです。

次に、広報のやりやすさです。米子市などの都市部では、人口も多いのですがお店やイベントも多いので、なにかをやっても目立ちません。イベントをするのに 広告をしても、同じ日に他の場所やお店でいくつもイベントをしているので、効果は半減してしまいます。ところが伯耆町ではイベントが少ないので、簡単に広 まるのです。

そして、地域コミュニティの強さです。都市部ではマンションやアパートが多く住民の移り変わりが激しいこともあって、自治会加入率が低く、地域の結びつき は弱くなっています。ところが中山間地域では自治会加入率が高いのです。これはメロンパンの購入数にダイレクトに表れました。米子市ではその場で食べる人 が多く、一人の購入数は一個か二個です。しかし、伯耆町では家に帰って食べるため、家族のぶんと近所に配るぶんという風に一人で10個20個と購入される のです。おすそわけ文化というのでしょうか。地域の結びつきが強いのです。

商店は減っていますが、それは逆にいうと競合が減っているということで、移動販売や食料品宅配などのサービスは有効です。わたしはあたたかい仕事であるこ の事業を失業者やニートの方などを雇用して行います。仕事をやめてから2年間仕事につけなくて引きこもりのようになっていた青年が、このメロンパン販売を 行うことで意欲が出て、社会復帰できたのです。中山間地域の高齢者たちのあたたかい感謝の言葉が、青年を癒したのです。また、地元の人も雇用したいと考え ています。

しかし、求められているよいサービスだとしても、継続するためには継続できる収益を上げる必要があります。収益が見込めないほど過疎の地域はどうすればよいのか、それがふたつめの活性化案です。

それは地域の人が地域を支える仕組みです。たとえば集落作業所や、野菜の直売所、婦人会などのグループが、地域のために買い物代行や安否確認サービスなど を行うのです。朝と夕方は農業があるけれど、昼間の時間が空いているとか、そういった人達が集落のために行うのです。中山間地域は地域の結びつきが深いの で、都市部よりも有利です。移動販売車を改造して、移動する八百屋を作って都市部の道の駅などに売りに行ってもよいかもしれません。この国信集落は谷尾さ んのようなすばらしいリーダーがいるので、そういったことが成功する可能性は高いと思います。

まとめに入りますが、日本は過去1000年で類を見ないほどの急激な人口増加と人口減少の最中にいます。人口増加を前提とした高度成長期の常識はもう通用 しなくなっています。震災を機に人と人とのつながりを重視する機運が高まり、お金ではない価値観、絆やぬくもりを求める人が増えてきています。中山間地域 は定住意識が高いというデータがあります。その理由として住民同士の関係性がよいからという答えが多いのです。これはつまり、世の中が求めている絆やぬく もりが、中山間地域には残っているということです。日本人が求めているものが、この地域にはあるのです。

豊かな自然、海と山、農地、水源、素朴であたたかい人々、時代が求めているものが中山間地域にあります。日本人が日本人らしく生きていけるのが中山間地域だと考えています。

わたしは3月に開始する移動販売と便利屋、御用聞きサービスによって地域の不便を解消し、雇用を創出し、中山間地域をさらに元気にするお手伝いをしたいと思っています。

本日は長々と話しを聞いていただき、本当にありがとうございました。

—ここまで

質疑応答のほうが活発で、そちらのほうが大好評でした。